●初代伊藤忠兵衛は、豊郷村(現豊郷町)で五代長兵衛の次男として生まれる。伯父に付き添い九州長崎方面へ行商に赴いた時に見た外国貿易の活況に刺激を受けたのが、わが国貿易のパイオニアとなるきっかけになった。
●忠兵衛の「三惚れ主義(在所に惚れよ、仕事に惚れよ、女房に惚れよ)」。在所=国家に、仕事=社会人の義務と勤めに、女房=家庭や従業員に、つながる。
●忠兵衛の座右の銘「商売は菩薩の心、商売道の尊さは、売り買いいずれも益し、世の不足をうずめ御仏の心にかなうもの、利真於勤(利は勤むるに於いて真なり)」の創業精神は、今も伊藤忠商事の「清く正しく美しく」の社是として受け継がれている。
「三方よし」
「売り手よし、買い手よし、世間よし」
丹羽宇一郎(にわ・ういちろう)
1939年生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。98年に社長に就任すると、約4000億円の不良債権を一括で処理し、同社の業績をV字回復させる。2010年、中華人民共和国特命全権大使に就任する。現在、公益社団法人日中友好協会会長、グローバルビジネス学会会長などをつとめる。『人は仕事で磨かれる』(文春文庫)(幻冬舎新書)『負けてたまるか!若者のための仕事論』(朝日新書)『戦争の大問題』(東洋経済新報社)『人間の本性』(幻冬舎新書)『仕事と心の流儀』(講談社)など著書多数。
「清く、正しく、美しく」